編集部では4つの法人を運営しています。
経理にかかっている費用は、1社あたり年8万円弱の会社もあれば、年51万円の会社もあります。同じ「法人1社の経理」で、6.4倍の開きがあります。
各社の状況に合わせて、個別に検討した結果です。
この記事では、4社分の実額と、なぜここまで差がついたのかを記録します。
法人格が別なら、経理も別に検討する
前提の話から書きます。
法人格は別人格です。そして財布も別です。
自分が株主であっても、そこにあるのは自分の財布の中身ではなく、会社のお金です。編集部が運営する法人のなかには、自分以外の株主や役員がいる会社もあります。 4社を一つの財布のように見る感覚でいると、そのときに説明がつかなくなります。
別の会社なので、経理は別々にやる。 それが前提です。
そして別々にやる以上、「どうやるか」も会社ごとに検討することになります。
事業内容が違えば、取引の件数も種類も違う。従業員がいるかどうかでも、経理の複雑さが変わります。1社目で使っているソフトが、2社目に合うとは限りません。
なお、「4社あるからまとめて効率化しよう」という発想は、編集部にはありません。別の会社だからです。 それ以上の理由はありません。
会計ソフトも税理士も、会社ごとに決めています。結果として、以下のように分かれました。
4社の実額

経理と税務にかかっている費用です。すべて実際の支払額です。

| 経理処理の方法 | 年間コスト | |
|---|---|---|
| A社 | マネーフォワードで自社処理 | 79,760円 |
| B社 | マネーフォワードで自社処理 | 79,760円 |
| C社 | 税理士に委託(会計ソフトなし) | 510,000円 |
| D社 | マネーフォワードで自社処理 | 79,760円 |
| 4社合計 | 749,280円 |
月額に直すと62,440円です。C社1社だけで、全体の68%を占めています。
内訳:ソフトで自社処理する場合(3社)
A社・B社・D社は、マネーフォワード クラウドで自社処理しています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| マネーフォワード クラウド | 年29,760円(月額換算2,480円) |
| 決算時の税理士費用 | 5万円程度 |
| 1社あたり合計 | 約79,760円 |
顧問契約は結んでいません。決算期だけスポットで依頼しています。依頼先も会社ごとに別です。
使っている機能は、会計・請求書・ビジネスカード・クラウドBOX・社会保険・給与です。
内訳:税理士に委託する場合(1社)
C社だけが、この形です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 顧問税理士(経理処理を含む) | 月30,000円 = 年360,000円 |
| 決算時の費用 | 150,000円 |
| 合計 | 510,000円 |
会計ソフトは使っていません。 経理処理そのものを税理士に委託しています。
なお顧問料と決算費用は別建てです。月額の顧問料に決算が含まれる契約もありますが、C社の場合は分かれています。
差は6.4倍
| 年間コスト | |
|---|---|
| ソフトで自社処理 | 79,760円 |
| 税理士に委託 | 510,000円 |
| 差 | 430,240円(約6.4倍) |
これを「無駄」と見るか「必要」と見るかが、この記事の分かれ目です。
なぜC社だけ、6.4倍払っているのか

C社の事情が、他の3社と違うからです。
1. 取引件数が桁違い
C社は対面の店舗を運営しています。現金取引が発生し、日々の取引件数が他の3社とは比較になりません。ソフトに入力する量そのものが違います。
2. 従業員がいるぶん、経理が複雑
給与、社会保険、経費精算。従業員がいる会社といない会社では、経理の複雑さが変わります。
3. 経営者が手を出す時間がない
実務上は、これが一番大きいかもしれません。取引件数が多く複雑な経理を、経営者本人が処理する時間は確保できません。
C社には、6.4倍払う理由があります。 そして他の3社にはありません。
仮に4社を揃えようとしたら、どちらかが起きます。C社の方法に揃えれば、必要のない3社にも年51万円がかかる。 3社の方法に揃えれば、C社の経理が回らなくなります。
どちらに揃えても、どこかの会社が損をします。 各社の状況を見て個別に決めるほうが、結果的に全体が最適になります。

そもそも、まとめる余地がほとんどない
考え方の問題とは別に、実務上もまとめられる部分はごくわずかです。
アカウントは必ず別になる
別法人なので、会計ソフトの契約もアカウントも分かれます。1つの画面で4社を横断して見る、という状態にはなりません。
まとめ割引は使っていない
編集部では3社分のマネーフォワードを契約していますが、1社あたりの金額は変わりません。 法人が1社増えるごとに、年29,760円がそのまま積み上がります。社数に正比例します。
締め作業も会社ごと
4社分をまとめて処理することはできません。会社ごとに独立した作業です。
税理士も別々
顧問契約はC社だけです。他の3社は決算期にスポットで依頼しており、依頼先も分かれています。
月次の締めは「気づいたとき」にやっている
運用の実態も書いておきます。
編集部では、月末にまとめて4社分を処理する、という運用をしていません。 気づいたときに、その都度処理しています。
「毎月◯日に締める」と決めていないため、1社あたりにかかっている時間は計測していません。感覚としては数時間程度ですが、正確な数字は出せていません。
4社分を特定の日にまとめて処理しようとすると、その日だけ負荷が集中します。日常の隙間で流すほうが、結果的に回っている状態です。
1社増やすときの見積もり
これから2社目を作る人向けに、編集部の実額をそのまま置いておきます。
自社でソフト処理する場合
| 会計ソフト | 年3万円前後 |
| 決算時の税理士 | 5万円程度 |
| 年間 | 約8万円 |
税理士に委託する場合
| 顧問料 | 月3万円=年36万円 |
| 決算時の費用 | 15万円程度 |
| 年間 | 約51万円 |
分岐点は、取引件数と経営者の可処分時間です。 金額だけを見れば自社処理ですが、処理する時間がなければ意味がありません。
そして重要なのは、この判断を会社ごとに行うことです。1社目でうまくいった方法を2社目にそのまま持ち込むと、事業内容が違えば合いません。
編集部の場合、3社は同じ方法に落ち着きましたが、それは結果として同じになっただけです。最初から揃えたわけではありません。
労務は内製、経理は外注という選択
最後に、1本目の記事との関係を書いておきます。
C社では、社労士の顧問契約を解約しました。 給与計算をfreee人事労務に切り替え、年間で約32万円から44万円を削減しています。
一方で、経理は税理士に年51万円を払って委託しています。
つまりC社がやったのは「外部の専門家を減らす」ことではありません。労務は内製化し、経理は外注するという選択です。
労務は年に数回の手続きが中心で、ソフトとAIで調べながら処理できる範囲でした。経理は日々の取引が発生し続けるため、量そのものが違います。
領域によって、内製と外注の答えが変わる。 そして会社によっても変わる。4社を並べると、そのことがはっきりします。
クラウド型会計ソフト マネーフォワード クラウド会計記録として残しておくこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 編集部が運営する4法人 |
| A社・B社・D社 | マネーフォワード クラウド 年29,760円/決算 5万円程度 |
| C社 | 顧問税理士 月30,000円/決算 150,000円/会計ソフトなし |
| 4社合計 | 年749,280円(月額換算 62,440円) |
| C社の比率 | 全体の68% |
| ソフト方式と委託方式の差 | 約6.4倍 |
| 顧問契約 | C社のみ。他3社は決算期のスポット依頼 |
| 税理士 | 4社それぞれ別 |
| まとめ割引 | 利用していない |
| 未計測 | 月次処理に1社あたりかかっている時間 |
月次処理の時間を計測していないため、自社処理の実質コストは上記より高くなります。 次回の処理時に計測し、この記録を更新します。

