社労士の顧問を解約してfreee人事労務にした。1年たった時点の記録

社労士の顧問料 月30,000円台 → 月3,667円(解約して1年の記録) ツールと制度

編集部が運営する法人のひとつで、顧問社労士との契約を解約し、freee人事労務に切り替えました。対面の店舗を持つ、従業員4名規模の法人です。

解約は2025年9月。ちょうど1年が経ちました。

先に断っておくと、この記事に「社労士は不要だった」という結論はありません。 ただ、何がどう変わったかは、金額も含めて具体的に書けます。


結論:月3万円台が、月3,667円になった

数字から書きます。すべて税抜、すべて支払実績です。

社労士顧問の解約前後、月額換算コスト(実測)
社労士顧問の解約前後、月額換算コスト(実測)
解約前解約後
社労士顧問月30,000円台—
freee人事労務—年24,000円(年間契約)
年末調整顧問料に含む年20,000円(税理士へ別途)
年間合計36〜48万円44,000円
月額換算30,000円台3,667円

年間でおよそ32万円から44万円の削減です。

ただし、この数字には社内メンバーが手続きに費やした時間が入っていません。 編集部では計測していないため、正確なコストは出せていません。金額だけを見て「得をした」と判断するのは早いと考えています。

そしてもうひとつ。社労士がやっていた業務は、消えたわけではありませんでした。


社労士に何を頼んでいたか

解約前、顧問社労士に依頼していたのは主に2つです。

  • 給与計算
  • 入退社の手続き

これに加えて、契約を続けていた理由がもうひとつありました。「何かあった時の保険」です。

労務は、平常時には特に何も起きません。しかし労基署の調査が入ったり、従業員との間でトラブルが起きたりしたときに、相談できる相手がいるかどうかで話が変わります。明示的な業務ではありませんが、月々の顧問料にはその安心料が含まれていた、という認識でした。


解約を決めた理由は2つある

1. 主要な業務がソフトでできると分かった

給与計算は、勤怠データを入れれば自動で計算されます。社会保険の計算も同様です。人間がやるのは従業員の個人情報の入力と給与設定で、そこさえ済めば大部分は自動で処理されます。

入退社の手続きについても、freee人事労務の案内に従って進めれば対応できる範囲でした。

なお正直に書いておくと、freeeを選んだこと自体に、比較検討の結果という背景はありません。 使ってみたかったから、というのが実際の動機です。編集部が運営する他の法人では会計と労務にマネーフォワードを使っており、労務にfreee人事労務を使っているのはこの法人だけです。この法人の会計は税理士に委託しています。

2. 分からないことを調べる手段が変わった

こちらのほうが、実は判断への影響が大きかったと考えています。

給与計算がソフトでできること自体は、以前から可能でした。それでも顧問契約を続けていたのは、「分からないことが出てきたときにどうするか」が解決していなかったからです。

現在は、労務まわりで分からないことが出てきたとき、まずAIに聞いています。 制度の仕組み、手続きの流れ、必要な書類。編集部ではChatGPT・Claude・Geminiを、そのときどきで使い分けています。モデルごとに得意分野や精度が変わるためです。

助成金についても、AIに聞きながら申請書類を作成して提出しました。 すでに受給できたものもあり、審査中のものもあります。

そしてそれでも分からなければ、行政の窓口に電話します。 労働基準監督署、年金事務所、ハローワーク。窓口は無料で、しかも公式見解が得られます。

AIで一次調査をして、詰まったら窓口に確認する。

この2段構えが機能すると分かったことで、「何かあった時の保険」の必要性が下がったと判断しました。


解約後、業務はどこへ移ったか

ここがこの記事の中心です。

社労士がやっていた仕事は、なくなりませんでした。担い手が変わっただけです。

元の業務現在の担い手
給与計算freee人事労務(自動計算)
社会保険の計算freee人事労務(自動計算)
入社手続きfreeeの案内に沿って、社内メンバーが対応
労働保険の年度更新freeeの機能を使い、社内メンバーが処理
算定基礎届freeeの機能を使い、社内メンバーが処理
年末調整税理士(顧問業務とは別費用)
助成金の申請AIで書類を作成し、社内メンバーが提出
制度・手続きの調査AI → 必要に応じて行政窓口
「何かあった時の保険」契約としてはなし(後述)

完全に自動化されたのは、給与計算と社会保険の計算だけです。

それ以外の手続きは、ソフトやAIが手順を示してくれるものの、最終的には社内の誰かが手を動かしています。 「ソフトを入れたから誰も何もしなくてよくなった」わけではありません。

とくに労働保険の年度更新と算定基礎届は、年に一度しか来ない手続きです。頻度が低いぶん、毎回やり方を確認するところから始まります。案内があっても、その時間はゼロにはなりません。 編集部ではこの工数を計測していないため、上の削減額には計上されていません。

年末調整については、顧問税理士が引き受けています。ただし顧問業務とは別費用で、年20,000円かかっています。社労士を解約したぶん、税理士側のコストが増えた形です。

そして一番下の行です。「何かあった時の保険」だけは、契約としてはどこにも移っていません。

ただし、ここには但し書きがあります。後の節で書きます。


1年で、年次手続きは一巡した

解約が2025年9月だったため、年に一度しか来ない手続きは、すべて解約後の体制で通しています。

手続き時期担い手
年末調整2025年12月税理士(別費用・年20,000円)
労働保険の年度更新2026年6月freeeの機能を使い、社内メンバーが処理
算定基礎届2026年7月freeeの機能を使い、社内メンバーが処理

制度上の年次イベントで、未経験のものはありません。 日常の給与計算と合わせて、1年分の運用を通した状態です。

そのうえで書くと、この1年、手続きでつまずいて止まった場面はありませんでした。


それでも「解約してよかった」とは書かない

金銭的にはプラスです。 数字が出ているので確かです。年次手続きも一巡しました。

それでも言い切らないのは、AIも行政窓口も、代理人にはならないからです。

AIは制度を教えてくれますが、その回答に責任を負いません。行政窓口は正確ですが、中立の立場であって、会社の味方ではありません。 労基署の調査に同席してくれるわけでも、従業員との紛争で会社側に立って動いてくれるわけでもない。

社労士との顧問契約が保険として機能するのは、まさにそういう場面です。この1年、そうした事態は起きていません。

つまり現時点の「プラス」は、事故が起きていない1年間の収支です。実際に何かが起きたとき、代理人がいない状態をどう感じるかは、そのときにならないと分かりません。

躊躇したのは、金額や機能の話ではなかった

解約を決めたときも、不安がなかったわけではありません。長く払い続けてきた顧問料には、それなりの理由があるはずだと思っていました。

ただ、実際に一番腰が重かったのは人間関係のほうでした。

金額が見合っているかどうかは、表を作れば判断できます。機能をソフトで代替できるかも、調べれば分かります。そのどちらとも別に、長く付き合ってきた相手との契約を自分から終わらせる、という作業があります。

数字の比較表には出てきません。しかし実務では、ここで止まっている経営者が少なくないと思います。コストが見合っていないと分かっていても、切り出しにくい。

それでも、まずは取り組んでみようと判断しました。

結果として、円満に解約したことが保険になっている

実際に伝えたときは、揉めることはありませんでした。あっさりと受け入れてもらえましたし、解約後も相談に乗ってもらえています。

これは正直に書いておくべきだと思います。編集部の「何かあった時の保険」は、契約上は空白ですが、実態としては完全な空白ではありません。

ただし、これは契約に基づくものではありません。好意で応じてもらっているだけで、義務はありませんし、いつまで続くとも限りません。労基署の調査に同席してもらえるわけでもない。保険として数えるには弱いものです。

それでも、揉めて解約していたら、この相談先はありませんでした。

「円満に辞める」というのは人情の話に聞こえますが、顧問契約の解約においては、リスク管理として合理的だったと考えています。

解約は「切る」ことではなかった

今後、事業が拡大して、ソフトと社内の体制だけでは対応しきれなくなる場面は来ると思います。従業員が増えれば労務は複雑になりますし、AIと窓口で調べて済む範囲も超えてくるはずです。

そうなったときは、同じ社労士にまた依頼したいと考えています。 それくらい良い形で取引を終えられました。

つまり編集部にとって今回の解約は、社労士という選択肢を捨てたことではありません。今の規模に合わないから、一度外しただけです。

だからこの記事の結論は、「社労士は不要だった」ではありません。

「今の規模では、外しても回っている」 です。

規模が変われば、判断も変わります。


この構成が向かない会社

編集部の法人でこの形が成立しているのは、4つの条件が揃っているからです。

1. 手続きを引き受けられる社内メンバーがいる

年度更新、算定基礎届、助成金の申請、入社手続き。ソフトが手順を示してくれるとはいえ、実際に処理する人は必要です。編集部の場合、そこを担う社内メンバーがいます。いなければ、すべて経営者本人の作業になります。

2. 年末調整を引き受けてくれる税理士がいる

別費用ではありますが、依頼できる相手がいます。ここが空白だと、年末調整を自力でやるか、別途探すことになります。

3. 元の顧問と円満に別れられた

前の節に書いたとおり、解約後も相談に応じてもらえています。契約ではなく好意によるものですが、まったく誰にも聞けない状態とは違います。

揉めて解約した場合、この余地はありません。ここは条件として書いておくべきだと考えました。

4. AIで一次調査ができ、必要なら窓口に確認しにいける

これを正直に書いておきます。編集部は日常的に複数のAIを使い分けており、調べ方に慣れている側です。AIの回答をそのまま信じるのではなく、おかしいと感じたら別のモデルに聞き直し、それでも詰まれば窓口に電話する。この動き方が習慣になっています。

AIを使い慣れていない場合、この条件は成立しません。 そして重要なのは、AIは間違えることがあり、その回答に責任を負わないという点です。労務は個別性が高く、一般論としては正しくても自社に当てはまらない場面があります。最終的に確認しにいく先を持っていないなら、顧問を外すべきではないと考えます。

したがって、以下のような会社では同じ判断をしても結果が変わります。

  • ひとり法人:手続きがすべて自分に降ってきます。月3万円台の削減と引き換えに、年に数回しか来ない作業を自分で確認しながら処理することになります
  • 税理士と顧問契約していない会社:年末調整の引き受け先がありません
  • AIや窓口で自分から調べにいく習慣がない会社:分からないことが出た時点で止まります
  • 顧問と揉めた状態で解約する場合:契約も相談先も同時に失います
  • 労務が複雑な会社:シフト制、変形労働時間制、有期雇用が多いといった場合、「保険」を外すリスクが相対的に高くなります

社労士の顧問料を「削れるコスト」として見るか、「保険料」として見るか。その判断は、社内に誰がいて、どう調べられるかで変わります。

編集部のひとり法人では、そもそも社労士を入れていない

参考までに書いておきます。

編集部が運営する法人のなかには、ひとり法人もあります。そちらでは社労士を入れていませんし、入れる予定もありません。 従業員がいなければ、給与計算も社会保険の手続きも、そもそも発生する量が違うからです。

なおこちらの法人はマネーフォワードを使っており、労務まわりの機能は年間契約に含まれています。 別途の費用は発生していません。

この年間契約に何が含まれているかは、ひとり法人プランで使っていない機能が6つあった。うち1つは、知らずに手作業していたに書いています。

つまり同じ編集部のなかで、

  • 従業員4名の法人:freee人事労務+社労士なし
  • ひとり法人:マネーフォワード(年間契約内)+社労士なし

という2つの形が並んでいます。

社労士が必要かどうかは、従業員数だけで決まるわけではありません。 手続きを処理する人が社内にいるか、分からないことを調べにいけるか。そちらのほうが判断に効いていると考えています。


記録として残しておくこと

項目内容
対象対面の店舗を持つ法人/従業員4名規模
解約時期2025年9月
経過期間約1年(2026年9月時点)
解約前社労士顧問 月30,000円台(税抜)
解約後freee人事労務 年24,000円(税抜・年間契約)
追加費用年末調整 年20,000円(税理士・別費用)
年間削減額約32万円〜44万円
調査手段AI(ChatGPT / Claude / Gemini を使い分け)+ 行政窓口
助成金AIで書類作成し提出。受給済みのものと審査中のものがある
年次手続き年末調整・年度更新・算定基礎届をすべて解約後に通過
解約時の状況円満に解約。契約外だが解約後も相談に応じてもらえている
今後の方針事業拡大で対応しきれなくなった場合、同じ社労士への再依頼を想定
未計測社内メンバーが手続きに費やした工数

社内工数を計測していないため、この記事は完全な収支を示すものではありません。 次回の手続き時に計測し、この記録を更新します。